メダカ初心者の失敗のほとんどは雨風太陽に対する誤解

鴨川で就労支援施設を経営されている社長さんがご来店。廃業したパチンコ店の施設数百坪を使い、パチンコ台を解体して採取できる部品を販売する事業をされています。

ただパチンコ業界も店舗が減少の一途をたどっています。普通に考えると下降線をたどらざるを得ないパチンコ関連事業。それをカバーする手段として今年の７月からメダカと飼育用品の生産をはじめたとのことでした。

ご来店の目的は二つ

１．メダカの飼育がうまくいかないのでそのコツを教えて欲しい

２．生産した飼育用品（組み立てた卵キャッチャーなど）の営業

でした。

１について詳しくお聞きすると、、、

もともとパチンコ店だった約１００坪の店内の約半分のスペースを使って飼育をしているがどうもうまくいかないとのことでした。

私の回答はシンプル。

「店内ではなく駐車場（しかも店内の１０倍のスペースがあるらしい）にメダカ養魚場を移すべき」です。

という事で実際に堀切めだかの屋上養魚場をご覧いただきながら「太陽」「風」「雨」のご利益と重要性について解説をさせていただきました。

メダカ飼育を失敗される方の多くはそのほとんどがこのようなパターンです。

１．風のご利益と重要性を知らない

酸素供給はエアレーションで、と考える方が多いのですが、私が思うには風はエアレーションに勝ります。というか風の圧勝と言っていいほど。

金魚のエアレーションや風は魚に対する酸素供給が主目的です。おそらくそのイメージが浸透しているのでしょう。しかしメダカの場合はちょっと違うというのが私の考え。メダカ水槽における酸素供給の対象はメダカよりもそこに住む微生物や細菌なのです。

好気性バクテリアと嫌気性バクテリアという言葉をご存じでしょうか。前者は酸素を好み水を活性化するバクテリア。一方後者は酸素をほとんど必要としない細菌。有名なところでは腸内で生きるビフィズス菌とか大腸菌がこれに当たります。嫌気性バクテリアが猛威を振るうと「白濁」「油膜」「異臭」などで水槽を地獄に陥れます。風のない環境で水替えに追われるのは嫌気性バクテリアとの戦争状態に陥っているからなのです。

２．太陽光は照明器具で代用が効くと思っている

どういうわけか、これが効かないんです。水草さえ育成可能な現在の照明技術。しかしたとえそれを駆使しても例えば太陽光の当たらない場所では育成はおろか死なせないこと痩せないことに大変な苦労が伴います。

実際、商業ビル内メダカ専門店は国内に多くは存在していません。ホームセンターのメダカコーナーが強くならないのも同じ理由です。

金魚や熱帯魚は照明器具で維持育成ができるのにメダカは出来ないのはなぜか。水深の深い大きな川で育ったフナ（金魚の先祖）や熱帯魚に対し、メダカの先祖は田んぼの脇の水深の浅い小川で太陽光を浴びまくって生きてきたので太陽光依存度の強い体質になっているのではないかと考えられます。

３．雨は有害と思っている（特に酸性雨という風評）

今、国内で降る雨にメダカにダメージを与えるような酸性雨被害は全くありません。堀切めだか１号店も千葉養魚場も雨水大歓迎。蓋など一切せず積極的に雨水を取り入れています。大雨の後のメダカはとても活発に泳いでご機嫌です。

雨水は水滴が空気に触れて高所から落下してくるため溶存酸素量が豊富なのでしょう。ぜひお試しください。あるいは堀切めだか１号店の養魚場を雨上がりにご覧になってみてください。

いつの時代もどこの世界でもネガティブなワードほど独り歩きしやすいのです。メダカ初心者の方でも異口同音に発する「酸性雨」という言葉の拡散性の強さには驚くばかりです。これこそ典型的な全くの風評です。