メダカ人気の理由を考える（４）メダカ屋として感じたこと

堀切めだかは２０２０年の創業以来、店舗販売を中心に営業をさせていただいています。昨年末に通販事業は開始しましたが、最初の２年は店舗販売１００％でやっていました。

そうしてたくさんのお客様との接点から感じたことを３点、ご紹介します。

１．客層に偏りがない

驚くべきことにこの商売における客層は老若男女に偏りがありません。来店されるお客様は男女はほぼ半々。小学校低学年からお年寄りまで。ご家族連れやご夫婦、カップ路のお客様も多数。特に男女カップルが趣味関連のお店に行く場合、片方がポジティブで片方はお付き合いというケースは多いと思うのですが、メダカに関しては男女とも来店動機がポジティブであるケースがほとんど。「生き物を飼うことは絶対ありえない」という人以外はすべての日本人がメダカを好きになる可能性を秘めているのではないかと思うほどです。

２．愛好家のメダカとのかかわり方が多様

最新品種に詳しいマニア、品種名は知らないけど彩でメダカ飼育を楽しむ人、水連鉢や池のボウフラ対策で飼う人、大型魚のエサにしたい人、学校の教材にしたい先生、部屋で飼う人、ベランダで飼う人、お庭で飼う人、屋上で飼う人、上見の容器で飼う人、横見のガラス水槽で飼う人、これだけ列挙しても何か漏れているかもしれません。その位多様なのです。この多様性は観賞魚では稀有なのではないでしょうか。

３．キャラクタービジネスとしての側面

開業して間もないころ、こんなことがありました。ご家族でご来店のお客様。小学校４年生くらいの女の子がお父様に「夜桜を飼いたい」と。その時の指名理由はどう見ても「名前のカッコよさ」が１００％だったのです。他にも魔王、鯖の極、忘却の翼、明けの明星、サファイアといった当時の人気品種の人気は店舗現場で見る限りそのネーミングセンスの勝利であることは明白でした。すぐに理解したことは販売者サイドの用語で表現するとメダカは「キャラクタービジネスとしての側面が強い」という事でした。キャラクタービジネスという単語を私の頭にインプットしたのは新日本プロレスのオーナーでゲーム会社創業者の木谷氏です。何かのメディアでのインタビュー記事でした。２０１２年に新日本プロレスの株式を買い取り、２０１９年には女子プロレスのスターダムも傘下に。絶望的とも見える暗黒期にあったプロレス界を現在の隆盛へと導いた戦略の根幹はプロレスをキャラクタービジネスと定義した上で、まるで全選手がスターであるといったような木谷氏の戦略にありました。そういえばEXILEとかAKBも同じようなものですね。ure.pia.co.jp

したがってメダカ人気の歴史の一つの分岐点は２００４年に登場した楊貴妃のそのネーミングにあったとみています。このメダカを朱赤メダカとして売り出さず楊貴妃メダカとしたことは、プロレスラーのリングネーム、相撲取りのしこ名、芸能人の芸名のような効果をもたらしたのです。名付け親の大場幸雄さん（めだかの館：広島県）がロマンチストなお人柄であることはこちらの動画をご覧いただくとよくわかります。そのことがとても大きかったと思います。

www.youtube.com