私を千葉へ導いたバングラデシュ人

橋本ラナさん（５９）。

今年、千葉養魚場と１０号店開設に至る縁を導いてくれたバングラディッシュ人。

日本に来たのは学生時代。もう３０年以上も前のこと。日本語はペラペラ。いつもニコニコ、笑顔を絶やさずとにかく社交的。奥様、お子様、バングラディッシュにいる８人の兄弟、とても家族を大切にします。その誠実な人柄が多くの日本人の信頼を受け、この異国の地で生き抜いてこられた人です。

子供のころはとにかく空を飛びたいと考えていたとのこと。ある時、和紙で羽を作ってそれで空を飛べると信じて２階から飛び降りてケガをしたこともある、という夢追い人。まさにファーストペンギン。

そしてラナさんはキャリア１０年以上のメダカ愛好家。フルボディ幹之一筋。

知り合ったのは昨年の５月。きっかけはテレビ東京のアド街ック天国・堀切菖蒲園特集でした。そこで堀切めだかが取り上げられたのですが、ラナさんが同じく堀切で経営されている焼き肉店牛将も取り上げられたのです。

私自身は焼肉店に行く習慣がなく、それまでは同店のことは知りませんでした。そんなある日、ラナさんが堀切めだかに幹之を買いにご来店。「ウチモ、アドマチデルヨ」。それが初対面です。

その数カ月後、一緒に飲んでいた時、ラナさんがこう言いました。「千葉県に自由に使える土地がいっぱいある。３年前から毎週月曜日（＝牛将の定休日）にそこに通って農業をやっている。もっと土地を開拓して農地も増やし、養鶏やアカムシの養殖もやりたい。シャチョ―（ラナさんは私をいつもこう呼ぶ）、千葉でメダカの養殖しませんか？」。

色々謎過ぎて最初は事情がよく理解できなかったのですが、つまりはこういうことでした。

①耕作放棄地含む広大な土地を千葉市内に複数所有されている５０歳代の地主さん

②地方創生もミッションに掲げるITベンチャーの４０歳代の東大卒の社長さん

③農業に対する知識と経験が豊富なラナさん

この３人それぞれが以前からの知り合い。①は元々は牛将のお客さん、②はラナさんの会社が傾きかけた時に私財をなげうって救済したラナさんの大恩人、という事のようでした。耕作放棄地を活用してほしい地主さんに、ITベンチャーの社長がそこで地方創生をテーマとした農業に挑戦するプロジェクトを３年前に立ち上げ、ラナさんが農業コンサルタントのような形で技術指導をしていたのです。

そして今年の２月。ラナさんの紹介で初めて千葉の現地を訪問。広大な土地をこの目で見て可能性を感じた私は、そのITベンチャーの千葉支社長に「メダカも地方創生の起爆剤になるポテンシャルがある」と提案。そして５月に養魚場を、７月に無人店を開設。今に至ります。