メダカ屋という仕事に必要な「言語化能力」

メダカ屋はお客様との対話の機会が非常に多い仕事です。ご来店の際にメダカを入手できたこと以上に店員と飼育相談の話がができたことを喜んでくださるお客様は珍しくなくいらっしゃいます。

メダカ飼育に関するノウハウや哲学をきちんと言語化できることと、それを発信していくことはこの仕事に必要なスキルであり、大事な仕事の一つです。そして業界内のプロと呼ばれる人たちにそのスキルが高い方が存在していることはこの趣味が大衆娯楽文化として永続発展していくための大きなカギともなるでしょう。

私自身は就活コンサルタントでもあり、著書もあります。レギュラーのラジオ番組を持っていたこともありますし、ブログの記事を何千本も書いています。言葉を操ることはどちらかといえば自分にとっては武器だと考えていました。

そんな天狗の鼻は最近、この番組によってへし折られました。

tver.jp

この番組の中で人気の俳句のコーナーが今、とてもお気に入りです。毎週楽しみにして視ています。

子供のころから今に至るまで、俳句という世界には全く興味関心がありませんでした。ひとつの作品も作ったことがありません。そのわずか17文字を操る世界の果てしない奥深さとその魅力に初めて触れました。もうびっくり。ひたすら感服しています。

今、私が俳句を詠んでも良い作品は絶対に出来ません。たった17文字も操ることができないのに、毎日ブログで何百字も書くなんてよくよく考えれば恐れ多い話なのです。ご愛読いただいている皆様には申し訳ない限りです。

人間の脳はインプットという作業だけでなくアウトプットという作業によっても磨かれていきます。こうしてブログを毎日書いて書いて、少しでもそのスキルを上げていくしかありません。

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数年前に読んだ「言葉にできるは武器になる」という本は大変勉強になった本でした。参考までに、そして私自身の備忘録に、その時読んでまとめたメモをここに転記します。

１．言葉の型

（１）たとえる（比喩・擬人）
わかりやすい言葉でイメージを共有する。得意分野の話に例えることで自分の言葉が生まれる。

・今一度日本を洗濯し候（坂本龍馬）
・元来、女性は太陽であった（平塚らいてう）
・リーダーとは希望を配る人のことだ（ナポレオン）
・私もあなたの作品のひとつです（タモリ）
・この一年はあっという間でした→この一年はまるで１５秒のようでした

（２）繰り返す（反復）
大事なことだから繰り返す。文章にリズムが生まれ心に響きやすくなる。

・雨ニモマケズ、風ニモマケズ（宮沢賢治）
・絶対は絶対にない（織田信長）
・誰かがやるはずだった。自分がその誰かになりたかった（カール・ルイス）
・何百万枚も売れるロックなんて、あんましロックじゃない（忌野清志郎）
・自分に勝つ→自分に勝つ、何としても勝つ

（３）ギャップを作る（対句）
強い言葉はギャップから生まれる。常識や現状を否定して未来を明確に語る。

・努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る（井上靖）
・人間は負けたら終わりなのではない。辞めたら終わりなのだ（リチャード・ニクソン）
・天分は持って生まれるもの。才能は引き出すもの（ココ・シャネル）
・人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である（チャールズ・チャップリン）
（４）言い切る（断定）
曇りのない言葉で明確な未来を打ち出す。断言は人々を導く「旗」になる。

・我が巨人軍は永久に不滅です（長嶋茂雄）
・我が辞書に不可能の文字はない（ナポレオン）
・１０年以内に人類を月に送り込む（ジョン・F・ケネディ）
・明日描く絵が一番素晴らしい（ピカソ）
・ポケットに入るラジオを作る（井深大、盛田昭夫）

（５）感じる言葉を使う（呼びかけ・誇張・擬態）
感じる言葉が聞く耳を持たせる。気になる言葉をワンポイントで使う。

・少年よ、大志を抱け（クラーク）
・やってみなはれ、やらなわからしまへんで（鳥井信治郎）
・気持ちいい、ちょー気持ちいい（北島康介）
・小さなことを積み重ねることが、とんでもない所へ行く唯一つの道（イチロー）
・崖っぷち、ありがとう！（松岡修造）

２．言葉を生み出す心構えを持つ

（１）たった一人に伝わればいい（ターゲッティング）
みんなに伝えようとすると、誰にも伝わらない。１人に伝わればみんなに伝わる

文章の前に「あなたに伝えたいことがある」をつける。
例：あなたに伝えたいことがある「世界は誰かの仕事でできている」（ジョージアのCM）
①あなたに＝伝えるべき相手は明確か
②伝えたいことが＝心から湧き出てくる思い、本心であるか
③ある＝断言しきれる内容か

（２）常套句を排除する（自分の言葉を豊かにする）
常套句があなたらしさを奪っている。当事者同士しか知らない「ふたりの言葉」の効力。

常套句：平素からお世話になっております
→ふたりの言葉：先週の打ち合わせ、ありがとうございました
常套句：ご無沙汰しております
→ふたりの言葉：前回お会いしてから半年がたってしましました
常套句：今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
→ふたりの言葉：今度は社外でもお話させていただければ嬉しいです。
専門用語や自分が完全に理解していない単語は使わない（自分らしさが薄れる）。
使うなら理解を深めたうえで使う。
例：KPI、PDCA、TPO、クラウド、コンバージョンなどのビジネス用語の流行り言葉

（３）一文字でも減らす（先鋭化）
書ききる、そして修正を加える。削ることで、言いたいことを際立たせる。残しておくか、消してしまうか悩む個所は削ってしまう。

参考文献　「言葉にできる」は武器になる　著者　梅田悟司

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